【4折・8折・12折・16折って何?】医療ガーゼの折り方
こんにちは、アメジスト編集部です。今回は、「医療ガーゼの折り方」について紹介したいと思います。主に医療現場で使われている「医療ガーゼ」ですが、どのような折り方があるのでしょうか。
医療ガーゼとは?
医薬品医療機器等法では「出血の抑制・液の吸収、擦過傷、乾燥又は汚染からの器官の保護のため、外科切開口、他の皮膚創傷又は内部構造に適用することを目的とする主としてガーゼから成る器具」と定義されています。分類としては一般医療機器(クラスⅠ)に分類されます。
なぜ折っているの?
擦過傷などの皮膚創傷,外科切開口,手術時の体内など、無菌組織に使用するガーゼには通常、滅菌したガーゼを使用します。この滅菌されたガーゼを使用するにあたり、取り扱いは「無菌操作(使用物品や使用部位を無菌状態に保ちながら操作を行うこと)」で行います。医療ガーゼは様々な処置に使用され、処置に応じた適切なサイズが必要であることと同時に、滅菌済みガーゼを使用するシーンが多くありますので、無菌操作が容易にできるように、あらかじめ使用用途に応じた形に折りたたみ、供給させていただいております。
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どのような折り方があるの?プライって何?
「平折」,「2折」,「4折」,「6折」,「8折(並)」,「8折(縦)」が代表的な折り方です。その他「7折」,「12折」,「16折」などもあります。
また、手術時に使用するガーゼは、特殊な形状に折りたたんだものも多種類あります。製造販売元によって名称が異なってくるものもありますが、例えば「イカ折」,「星折」,「三角折」,「ロケット折」,「ロール状」など、様々な折仕様があります。基本的にはどれも処置がしやすい、さばきやすい形状にあらかじめ折りたたんだものです。
「2折」,「4折」,「8折(並)」,「8折(縦)」など単純な折ガーゼはズラシをしてたたみます。ズラシがあると1枚ずつ取り出しやすく使用しやすいため、ピンセットなどでズラシ部分を挟んで取り出すこともできます。
当社では、主に病院様でご使用いただいている医療ガーゼは、元のガーゼの寸法と折仕様の表示(例30㎝×30㎝ 4折)をしているものが多いですが、ドラッグストアなどで販売している家庭向けガーゼの場合は、お使いになる際のサイズや厚みなどが分かりやすいように、折り上がり寸法と重なり枚数を表示しているものが多いです。重なり枚数は、「プライ」,「重」,「ply」,「層」,「折」などの表現をすることもあります。重なりをもたせる目的として吸収性やクッション性をもたせるという理由があります。「あてガーゼ(5cm×5cmや7.5cm×7.5cmに折りたたまれたガーゼ)」などに代表される家庭向けガーゼには、裁断ガーゼといわれる種類のガーゼを使用しており、裁断面から乱糸が出ないように端を内側に折りたたんだ工夫がされています。(※全ての製品がこの折りたたみ方というわけではありません。また、家庭向けガーゼの中にはズラシてたたんでいない仕様の製品もあります。)
こんな工夫も~ガーゼ体内遺残防止の対策~
医療ガーゼ(特に手術時に使用するガーゼ)は、折り方以外にも、下記のような課題に対してのサポートができる製品もあります。
手術創内に器具などの遺残(以下体内遺残)は医療過誤であり、患者にとって、再度手術 や麻酔の侵襲を受け、身体的・精神的に大変な苦痛となります。そのため体内遺残防止対策 は重要な課題といわれています。一般的には使用前、術中、使用後にガーゼ枚数が一致しているのかを確認(カウント)します。
使用後のガーゼのカウントとして、10枚ごとに束を作る,1枚ずつ釘に刺す・スリットに挟む・計数用トレーに入れる・透明ポケットに入れる,計数表の使用や、計数機械,ICタグ活用など様々な計数管理方法が採用されています。
また、使用後だけでなく、使用前(手術前)の準備から、術中(供給時)、術後のカウントが容易に出来き,かつ比較的安価なもので、ガーゼ体内遺残防止の安全管理の仕組みづくりが要求されています。当社の場合、それを容易にした、下記の製品を取り扱っています。ホルダーのスリット部分にガーゼが1枚ずつ入るような折り方・設計をしており、使用前・術中(供給時)・術後のガーゼカウントをしやすくしています。
X線造影糸(材)入りガーゼって?
手術創内に器具やガーゼ(スポンジ)を不注意に残さないようにする対策として、「WHO安全な手術のためのガイドライン:2009年」の提唱によると、「最初のガーゼの数合わせは必ず行うべき手順である。最低限、ガーゼ(スポンジ)は、手術の開始前、体腔内の処置での腔閉鎖前、(創の最初の層で)創の閉鎖前と皮膚の閉鎖時に数を数える。」,「できる限り、体腔に留置されるスポンジはX 線で検知可能なもののみとする。」とされています。また、「最終的に一致しないままである場合、(手術)チームはX線写真を撮影し、数合わせが行われなかった正確な理由とX 線写真の結果を記録する。」とされています。
X線造影糸は、ポリプロピレン,シリコーン,ポリスチレン系熱可塑性エラストマー等の高分子樹脂に、硫酸バリウム等のX線非透過性物質を加えて均一に混合し、糸状(帯状の製品もあります)にしたものです。このX線造影糸を織機でガーゼを織るときに数本のたて糸と置き換えて織り込む方法(主流)や,ミシンを利用して造影糸をミシン縫いする方法,熱ローラーで圧着させる方法,高周波にて融着させる方法などで、X線造影糸(材)入りガーゼを製造します。
X線不透過性素材から成るX線造影糸は糸状の画像確認などで視認されます。しかし、X線を通しにくい組織(骨や尿がたまった膀胱など)の近くで遺残などでは視認しにくいといわれています。また、綿糸は乾燥状態ではX線を通しやすいですが、吸収した後は通しにくく、糸状のX線造影糸の画像のみを視認しにくいともいわれています。視認しやすいガーゼとするために、X線造影糸を太くする、X線造影糸を複数本入れる、帯状にする(織りにくい)、バリウムの含量が高いものを使用する、糸の密度を高くするなどの工夫がされています。
いかがでしたでしょうか。医療ガーゼの折り方についてご紹介させていただきました。折り方一つにとっても使いやすいようにいろいろな工夫がされていますね。また、体内遺残防止の対策など、折り方だけではない工夫がされている製品もあります。「医療ガーゼ」と聞くと医療現場で使われているイメージが強いと思いますが、ドラッグストアなどでガーゼを購入される際に、パッケージやパッケージに添付されている紙(医療機器添付文書)に「医療ガーゼ」と表記された製品もあり、ご家庭でもお使いいただけるサイズや種類も多数販売されています。
本記事が少しでもお役に立てていただければ幸いです。
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