アルコール綿とは?
目次
こんにちは、アメジスト編集部です。今回は、「アルコール綿」について紹介したいと思います。
アルコール綿とは?
アルコール綿とは、綿などの基布に、エタノール(別称:エチルアルコール、酒精)やイソプロピルアルコール(別称:イソプロパノール)などのアルコール系の消毒薬を含浸させた製品です。医薬品または医薬部外品で販売されています。
出典:厚生労働省 URL:https://www.mhlw.go.jp/index.html
用途は?
用途として、創傷面への適用も記載されていますが、アルコール系の消毒薬は刺激が強いため、近年では創面への消毒に使用されることは少なくなってきているようです注1)。アルコール綿の主な用途としては、注射・採血部位の皮膚の消毒注2)や、糖尿病等の自己注射時等に使用する注射器,薬の瓶のゴム栓部分の消毒などの機材の消毒としての用途が多いようです。主にこのような用途に使用するため、基布のサイズは約4cm×4cmや約4㎝×8cm(広げた状態)のものが多いです。
注1)近年、傷は消毒せずに、湿らせて治療する方法(モイストヒーリング)が注目されています。その理由は、消毒薬は傷口を刺激し、かえって傷を悪化させると考えられるようになったからです。消毒液を塗ると傷が痛むのがその証拠の一つです。傷口では傷を治すため体から体液が分泌され、液の中でいろいろなキズを治す成分働いています。消毒薬はそれらを壊してしまい、体を治そうとしているのを妨害してしまうといわれています。
また、皮膚には他の菌が入ってこないよう我々の体を守ってくれる「常在菌」という良い菌がいますが、消毒薬により「常在菌」が死んでしまい、悪い病原菌が侵入しやすくなるともいわれています。悪い病原菌に対しても消毒薬は有効ですが、病原菌を完全になくすことは難しいといわれており、汚れた傷は、水道水などできれいに洗うことが大切です。
注2)注射針を穿刺(せんし)する部位を消毒する理由として、皮膚の脂肪や汚れなどを除き、穿刺部位への細菌類の感染による血行性感染を防ぐ(病原微生物が血管内に入り、血流によって他の部位に運ばれ、そこに新しい病巣を形成して広がることをいう)ためです。
アルコールの濃度表記について
日本薬局方の「消毒用エタノール」の濃度を見ると、「76.9~81.4vol%」とあります。アルコール綿のパッケージなどの成分表示に「vol%」など記載されているものもあり、なじみのない方もいらっしゃるかと思います。どのような意味なのでしょうか。
体積百分率(v/v%またはvol%)
「溶液100mL中に、エタノールが何mL含まれているか」を表わすパーセントのことで、日本薬局方(日局)においての消毒用エタノールは、このように「体積百分率」という濃度表記が用いられています。
質量百分率(w/w%)
「溶液100g中に、エタノールが何g含まれているか」を表わすパーセント。(他の医薬品などで「%」とだけ書いてある場合は、この質量百分率であるのが一般的です。)
質量対体積百分率(w/v%)
「溶液100mL中に、エタノールが何g含まれているか」を表わすパーセント。日局の製剤総則(せいざいそうそく)に「有効成分の濃度を%で示す場合は w/v%を意味する」という規定のある注射剤と点眼剤,腹膜透析用剤,点耳剤などに用いられています。
mLで記載されている場合
他にも、薬液100mL中の日局エタノール量を記載している製品もあります。薬液100mL中に日局エタノール83mLとある場合の例を当社製品「アメジストコットンパウチ」の例でみてみましょう。
日局エタノールはエタノール96(95.1~96.9)vol%含有です。したがって、製品中のエタノール体積百分率は、「83×0.96=79.7 vol%」となり、日局消毒用エタノールの範囲内(76.9~81.4)の濃度です。
他にもイソプロパノールという成分が含浸されているアルコール綿もありますが、日局イソプロパノールは94vol%ですので、製品中のイソプロパノールの体積百分率は、「3.7×0.94=3.5 vol%」となります。この配合目的は、飲料にできないイソプロパノールを加えることによって、アルコール飲料等に課せられる酒税の対象外品とする目的があります。
このように、同じものでも濃度の表記方法が違うと値が異なってきます。
包装のタイプ
キャップ付タイプ(パックタイプ)
主として病院などのヘルスケア施設をはじめとする使用頻度が多い施設・場所で使用されるキャップ付き容器入りの大容量品です。使用後はきちんとキャップをはめて密閉し、それでもアルコールの揮発,細菌等の汚染のリスクがありますので、開封後は24時間以内を目安にお使いいいただくのが良いです。
パウチタイプ(個包装タイプ)
個包装タイプで衛生的で携帯にも便利です。市販されているものもこの個包装タイプのものが多く、在宅医療などで、処置に使用する医療機器等の器材の消毒や処置部分の皮膚の消毒などに使用できます。
いかがでしたでしょうか。今回はアルコール綿についてご紹介させていただきました。ご購入の際の参考になれば幸いです。
※アルコール過敏症の方はその他の消毒薬をお使いください。