1. HOME
  2. ブログ
  3. お役立ち情報
  4. 殺菌について

BLOG

ブログ

お役立ち情報

殺菌について

殺菌

こんにちは、アメジスト編集部です。今回は、「殺菌」について紹介したいと思います。

殺菌とは?

漢字の通り、「菌を殺す」ということです。対象や程度を含まない概念です。対象物を滅菌した(あるいは消毒)という場合は、その後の微生物の混入や増殖がない限り、すべての微生物が存在しない(あるいは発症しない)ことを示しますが、一部を殺した(極端な話をすれば、1%の菌を殺して99%が残っている状態)だけでも「殺菌した」と言えますので、この用語を使う場合は、有効性を保証したものではない、ともいえます。

 この「殺菌」という表現は、「薬機法(厚労省)」の対象となる消毒薬などの「医薬品」または「医薬部外品」や、薬用石けんなどの「医薬部外品」で使うことはできますが、洗剤や漂白剤などの「雑貨品」については、使用できないことになっています。

 また、食品分野では「JAS法(農水省)」や「食品衛生法(厚労省)」で「殺菌」という表現が出てきます。

殺菌方法にはどんな方法がありますか?

 微生物を制御するとの意味では、「滅菌方法」,「消毒方法」と同様に、「加熱」や「電磁波」などによる物理的作用による方法や、「殺菌・消毒薬」など化学物質による化学的作用による方法などがあります。

微生物を制御する方法の例(「滅菌」「消毒」の処理方法は省略)

①熱:熱水・煮沸など

モノに付着した新型コロナウイルス対策としては「80℃の熱水に10分間」さらす

②低温:冷凍など

細菌が付いた食品を10℃~60℃の温度帯(危険温度帯)に置いたままにすると、その細菌はぐんぐん増えていきます食品の温度がこの温度帯に曝される時間をなるべく短くする必要があります。コンビニなどでは、10℃以下の冷蔵庫または、65℃~85℃くらいの温蔵庫に食品を保管し微生物の増殖を抑制しています。

③電磁波:紫外線、マイクロ波、赤外線など

紫外線による殺菌作用は波長253.7nm付近が最も強いとされてきました。これは核酸(遺伝子:DNA・RNA)に損傷を与え増殖の能力をなくすというメカニズムとされ、DNA・RNAを構成する5種の塩基(base pair)、アデニン(adenine, A)、チミン (thymine, T)、グアニン(guanine, G)、シトシン (cytosine, C)、ウラシル (uracil,U)それぞれの吸収のピーク波長の単純平均263 nm付近で微生物の遺伝子を壊すことにより増殖を抑制すると予想され、実際には280nmくらいの波長のランプ(深紫外線LED)を使うと効率的に殺菌できるようです。

近年、人体や環境への影響も極めて少ないうえに、コンパクトで省エネ・長寿命の深紫外線LEDの殺菌ランプが開発され新型コロナウイルスの殺菌用途にも注目されています(2020年9月時点)。ただし透過性が悪い光の作用を利用する殺菌方法のため、光が直接当たるモノの表面部分や、水,空気など光の透過性の良いもの以外の殺菌には向きません。

マイクロ波は、電子レンジに活用されています。殺菌の原理も同じで、マイクロ波により加速された分子運動による摩擦熱(誘電過熱)によるもので、赤外線も温熱作用による熱を利用したもので、微生物のタンパク質の熱変性や膜構造を破壊することによる熱殺菌です。哺乳瓶の殺菌処理に電子レンジを利用される場合もあります。

④物理化学的技術:水分活性調整、pH調整など

微生物が生えにくい水分活性状態をつくり発育を抑制する方法で、塩漬けや糖を多量に含むジャムなどの食品保存技術として応用されています。また、お酢やクエン酸などを加え酸性にすることにより微生物を生えにくくすることなども食品の保存に応用されています。

⑤化学的作用:二酸化塩素、オゾン、次亜塩素酸(強酸性水、電解酸性水)など

「次亜塩素酸ナトリウム 乖離型:次亜塩素酸イオン(ClO)」と「次亜塩素酸 非乖離型:次亜塩素酸(HClO)」では殺菌力が大きく違う。非乖離型(次亜塩素酸)の方が殺菌力は強い。しかし「次亜塩素酸ナトリウム」は比較的安定であるが、「次亜塩素酸」は次亜塩素酸ナトリウムと比べて安定性が悪いとされていますそれぞれ別なものと考えた方が良いですが、新型コロナウイルスの消毒方法にはどちらも有効性が確認されています

・物品への消毒に、次亜塩素酸水(電解型/非電解型)有効塩素濃度35ppm以上

・テーブル、ドアノブなどには、0.05%次亜塩素酸ナトリウムを用いる

・上記の濃度は有効性を示す濃度です。分解し濃度が低下したら無効です。高温になる場所や直射日光を避けるなど分解を抑える対策をお勧めします。

化学的作用を用いる場合は殺菌効果に影響を与える因子には、

①微生物の種類、菌量 
②有機物(汚れ) 
③対象物の性状 
④殺菌消毒剤の種類、濃度 
⑤作用時間、作用温度 
⑥pH 

などがあります。また、基本的に他のものと混ぜて使用してはいけません。

殺菌事例の紹介

乳児用ミルクは常温で長期保存(紙パックは約6か月、缶は約 1年)できますが、加熱殺菌処理の条件規定が牛乳よりも厳しいですね。(保存方法や賞味期限などは各メーカーの表示をご確認ください。)

いかがでしたでしょうか。殺菌について少しでも参考になれば幸いです。

●関連記事
 「滅菌」・「消毒」・「殺菌」・「除菌」などの違い【用語解説】

●関連記事
 「滅菌(めっきん)」とは

●関連記事
 新型コロナウイルスに有効な界面活性剤について

関連記事