AAMIレベルとは【ガウン・ドレープの防護性能】
こんにちは、アメジスト編集部です。今回は、「米国医療機器振興協会(AAMI)」が定める防護性能レベルについてご紹介いたします。
AAMIレベルとは?
AAMI(エイミー)の防護性能レベルとは、米国医療機器振興協会(Association for the Advancement of Medical Instrumentation)が定める、ガウンやドレープ等のバリア性能を4段階で示した基準です。
日本国内に独自の基準はありませんが、手技や予測される手術時間、血液量等に応じて適切なバリア性能を備えたガウンやドレープを選択することが、医療従事者への患者からの体液・血液汚染による職業感染リスクの軽減や、患者さんの手術部位感染のリスクを軽減しますので、AAMIの定める防護性能基準に準じたガウン・ドレープの適正使用を推奨しています。
なぜ防護性能が必要なのでしょうか?
医療現場においては、人に危険な病原体の曝露(ばくろ)により、健康な医療従事者が重大な疾患に感染してしまうという痛ましい報告が後を絶ちません。血液や湿性生体物質から、医療従事者を守るものを個人用防護具(personal protective equipment:PPE)と言いますが、主なPPE としてガウン、手袋、マスク、キャップ、 エプロン、シューカバー、フェイスシールド、ゴーグルなどがあります。
また、手術の際に術野の清潔の保持、患者の血液や体液等の飛散による感染防止等のために、患者の患部(術野)外周を被覆するサージカルドレープが使用されます。サージカルドレープは、ドレープ本体に患部のみを露出可能とする開口部を設け、術野の清潔を保ちながら開口部を介して手術を行います。
手術時には医療スタッフが患者さんの血液・体液に曝露(汚染)されるリスクが高いため、PPEを着用します。マスク、手袋などにも性能の規格がありますが、手術用ガウンにも防護性能が必要です。また、手術時に患者さんを覆うドレープについても、患者さんを汚染から守るための防護性能が必要です。
AAMIレベルの分類
性能に応じてレベル1~4に分けられています。レベル4が一番高い防護性能になります。
参考:Centers for Disease Control and Prevention
ガウンでは汚染リスクが高くなる体の前面部分と両腕の袖口から肘上部、ドレープでは開口部の周り部位が、防護性能においてのクリティカルゾーンとされています。クリティカルゾーンとその他の部分においては、求められる防護性能は異なり、クリティカルゾーンではより高い防護性能が必要です。
製品例
AAMIレベルに応じた防護性能を実現させるために、製品に使用されているSMS不織布にも工夫がされています。
手術用ガウン(サージカルガウン)
例えば、当社の「OW手術用ガウン#212」の例でみますと、SMS不織布のS(スパンボンド不織布)の層とM(メルトブローン不織布)の層が、あわせて5層構造になっており、AAMIレベル3水準の防護性能を有しています。
S:スパンボンド不織布:強度が強く撥水性能を有しています。
M:メルトブローン不織布:スパンボンド不織布と比較すると強度は低いが、目が細かく細菌やウイルスを通しにくい。
更に防護性能を高めるために、SMS不織布にスパンボンド生地に透湿性のある有孔ポリエチレンフィルムで裏面(内側)を補強し、AAMIレベル4の防護性能を有するタイプの手術用ガウンもあります。
縫製面でも高バリア・撥水・防水性能を保つために、ミシン針による穴のできない超音波縫製を採用し、柔らかい風合いで快適な着心地を実現しています。また縫い目強度も強く、縫い目から綻びにくいという特徴もあります。
医療従事者が着用するガウンは、単純に防護性能を高めるだけであれば塩化ビニル製などのプラスチック製のシート素材でつくることも可能ですが、これらには通気性がほとんどないため、熱がこもり、着用者が汗だくになってしまい、手術や処置等にも影響がでてきます。そのため、保護性能と着心地のバランスが重要とされています。
防護性能(バリア性能)に求められる一例
・スプレーで水を噴霧した場合の浸透抵抗性能(衝撃耐水性)
・水で持続的に加圧接触した場合の浸透抵抗性能(耐水性)
・代替血液の浸透抵抗性能(血液バリア性)
・ウイルスの浸透抵抗性能(ウイルスバリア性)
・撥アルコール性能
術者(着用者)の快適性に求められる一例
・透湿性能(蒸れにくい)
・ドレープ性能(柔らかさ)
・軽さ
その他
・引張強度,引き裂き強度
・低帯電性能
・低リント性能(粉塵が少ない)
・ドレープ性
・容易な廃棄性ドレープ(メインシート)
ドレープ(メインシート)
・パウチとドレープが一体化しており、血液・体液・生理食塩水の集液・排液が容易にできるため、術者へのこれらの汚染が軽減できます。
・開口部(術野)周辺は高吸収性不織布を貼り付け、術野から外に飛散した血液・体液・生理食塩水の流落を防ぎます(不織布を貼り付けていない規格もあります)。
・術式に合わせた各種サイズ、穴形状を揃えています。
・パウチは透明のため、落ち込んだガーゼや器具を外回りナースが容易に発見することが出来ます。
・撥水性オイフテープ付きのタイプは術野を固定することにより、開口部周辺は多層構造となり、より高いバリア性を可能にします。
いかがでしたでしょうか。AAMIが定める防護性能レベルについてご参考になれば幸いです。
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