消毒について
こんにちは、アメジスト編集部です。今回は、「消毒」について紹介したいと思います。消毒にはどのような方法があるのでしょうか。
消毒とは?
消毒とは生存する微生物の数を減らすために用いられる処置法で、必ずしも対象物に存在している微生物をすべて殺滅(さつめつ)・除去するものではなく、病原性微生物を、害の無い程度まで減らしたり、あるいは感染力を失わせたりして、毒性を無力化させることをいいます。
・消毒対象が生体か?器具か?
・病原性微生物の種類は何か?
・感染経路は(どこから感染するか)?
などによって消毒薬・消毒方法が変わりますので適切なものを選択しなければなりません。
消毒方法にはどんな方法がありますか?
代表的な消毒方法についていくつかご紹介します。
物理的消毒法
・消毒剤を使用しないで微生物を殺滅します。
・熱による消毒方法と紫外線による消毒方法などがあります。
・生体の消毒には適用しません
また、物理的消毒方法には下記のような方法があります。
熱水消毒法
80℃10分間の処理で、芽胞(ある種の菌が増殖に適さない環境になったときに形成する、耐久性の高い特殊な細胞構造)を除くほとんどの栄養型細菌(一般細菌)、結核菌、真菌(カビ)、ウイルスを感染可能な水準以下に死滅または不活性化することがでます。
流通蒸気法
100℃の蒸気の中に30~60分間接触させます。栄養型細菌、結核菌、真菌、ウイルスを殺滅するが、芽胞は殺滅できません。
煮沸法
沸騰水の中で15分以上煮沸します。栄養型細菌、結核菌、真菌、ウイルスを殺滅するが、芽胞は殺滅できません。
間歇法(かんけつほう)
80~100℃の熱水または流通蒸気中などで1日1回30~60分間ずつ3~5回加熱を繰り返す方法であり、細菌や真菌だけでなく芽胞形成菌も殺滅しようとする方法です。加熱操作が終了するたびに約20℃まで温度を下げ1日放置することで芽胞を発芽させる点がポイントですが、高圧蒸気滅菌法が普及した現在ではほとんど実施されていません。
紫外線法
254nm付近の波長を持つ紫外線を照射することによって微生物を殺滅する方法で、水,空気,器物表面などに使用されています。栄養型細菌に対しては短時間で効果を示しますが、真菌や芽胞に対しては長時間の照射が必要です。紫外線はガンマ線などの放射線に比して浸透力がなく、その照射表面だけしか効力を発揮しないため照射の死角となる影の部分への効果も期待できません。また、紫外線は人体の眼や皮膚に障害を起こすため、直接眼などに照射を受けないよう注意する必要があります。
近年、効果が高く、人に対して有害作用が低く、消費電力が少ない深紫外線LEDが開発されています。
化学的消毒法
・消毒薬を使用した消毒方法
・熱が使用できない場合の消毒方法
・適当な熱消毒器の無い場合や、生体及び環境、非耐熱性の医療器具などが対象
消毒レベル(効力)による消毒薬の分類
消毒薬は,抗微生物スペクトルの相違によって高・中・低水準の3つに分類されています。
・高水準消毒薬は,最も広い抗微生物スペクトルを有する(大量の芽胞の場合を除いて、すべての微生物を殺滅)が,生体に使用できず,内視鏡類などの医療器具が対象となります。
・中水準消毒薬は,比較的広い抗微生物スペクトルを有し(結核菌、栄養型細菌、ほとんどの真菌、ほとんどのウイルスを殺滅),生体,環境などに使用できます。
・低水準消毒薬は,狭い抗微生物スペクトル(ほとんどの栄養型細菌、ある種の真菌、ある種のウイルスを殺滅する)であるが安全性は高く,生体,環境の消毒に使用されます。
消毒の対象による分類
消毒薬は消毒の対象物により、生体に適用する生体消毒薬(antiseptics)と、生体には適用しない非生体消毒薬(disinfectants)に分類できます。
生体に使用する消毒薬は、正常な皮膚,皮膚創部,手術部位の皮膚,粘膜など消毒部位によって使い分けます。
非生体に使用する消毒薬は、正常な粘膜・体液または傷のある皮膚に接触する器具(セミクリティカル)は高水準消毒若しくは中水準消毒し、粘膜とは接触しない無傷の皮膚に接触する器具(ノンクリティカル)は洗浄若しくは低水準消毒するなどの使い分けをします。なお、無菌組織や血管系に挿入する器具(クリティカル)は滅菌します。
消毒薬は,それぞれ特性を有し、消毒対象(生体,器具,環境), 対象とする微生物の種類によって使い分けます。
消毒薬を使用する上での注意は?
消毒レベル,消毒の対象によって、適切な消毒薬・消毒方法を選択し、
・「濃度」「温度」「時間」を意識して使用する
・効力を理解し使用する
・血液など有機物で汚染されているものを消毒する場合には前洗浄を十分に行う
・消毒薬の副作用、毒性に留意する
・器具を浸漬消毒した場合にはすすぎを十分に行う
など十分理解して使用します。
消毒といってもその方法は様々ですが、私たちに馴染みのある消毒方法は、やはり市販されている消毒薬を使っての消毒方法(化学的消毒法)になってきますね。
(※)市販されている消毒薬をお使いの際は、各メーカーの添付文書等の注意事項をご確認のうえ、お使いください。
参考 消毒薬使用ガイドライン2015 J感染制御ネットワーク編
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